今日から不良王子と同居します。
クスクス笑いながら彼を見上げた。


彼は眩しそうに瞳を細めて、私の方へスッと手を伸ばす。


「大丈夫？歩ける？」


「あ、うん。じゃあ」


足の怪我はそんなにひどくなかったけど、差し出されたその手を握り返したいって思った。


彼と手を繋いで、支えられるようにして一緒に歩き出した。





コンビニの自動ドアが開くと、明るい音楽が流れる。


生まれて初めて入った店内は整然と商品が陳列されていて。


お菓子やパン、飲み物、おにぎりやサンドイッチ、日用品や文房具まで取り揃えられていてちょっと感動。


「わー、凄い。こんなにいろんなものが置いてあるんだね。」


「そうだね、音葉さん、少し声のトーンさげようか」


彼がコソッと私に耳打ちする。


店内にいた親子連れのお客さんがこちらを見てクスクス笑っているみたい。


だけど、私の興奮は冷めなくて、ニコニコしながら棚の端から眺めていく。


そんな私の横を玲生くんがコンビニのカゴを持ってついて歩く。

< 244 / 373 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop