今日から不良王子と同居します。
子供っぽいって。


君は笑うかな?




玲生くんがお会計を済ませて、コンビニの袋も彼が持ってくれた。


コンビニを出たところで、無意識に私の方から彼と手を繋いだ。


「あ……」


玲生くんは驚いたように目を見開く。


さっきコンビニに入ったところで、どちらからともなく手を離してたからまたもう一度繋ぎたいなって思っていたのかもしれない。


「音葉さん……」


彼は急に立ち止まったので、一歩先を行く私は振り返る。


「どうしたの?」


「このまま……ふたりでどこか行かないか?」


「え?」


彼の顔は怖いくらいに真剣で、その瞳は熱く私を見据えている。


「どこかって?」


「ふたりきりになれるところ……」


そんな風に誘ってきた彼が、なぜだかとても不安そうに見える。


今にも壊れてしまいそうなくらいはかなくて。


今、こうしている瞬間が泡のように、もろくて頼りない時間に思える。


もうなんにも考えられなかった。


「いいよ……」


喉の奥が緊張でカラカラ。


今の自分の返事が何を意味しているのかなんて、わからなくてもいい。
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