今日から不良王子と同居します。
決して気が付いてはいけない気持ちだったのに。


この時うっすらと、でも確実に自覚してしまったんだ。


私、玲生くんのことがこんなに好きなんだ。


だけど、もう閉じ込めないといけない。


自分の心にカギをかけて、消さないといけない。


今ならまだ間に合うのかな。


ううん、間に合わなくても消さなきゃ。


そうすれば……。


まだ誰も傷つけずに済むんだろうか。


結局、彼に抱きしめられたのは一瞬のことでそのまま何事もなかったように邸へ向かって歩き始めた。


その間、ずっとお互いに黙ったままだったけれど邸へ着いて彼の方から手を離されるまでずっと夢見心地でフワフワしていた。


そんな私は、玲生くんが今何を想っているんだろうかってことにまで、思い至れないくらいで。


彼がずっと辛そうにしていたことにも、気が付いてあげられなかったんだ。



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