今日から不良王子と同居します。
「別に、俺、兄さんに対して怒っているわけじゃないんだけどな。あんなに謝らなくてもいいのに」


彼はどこか寂しそうに息を吐いた。


「え、そうなの?」


だって、さっきのあの態度。


玲生くんたらお兄さんと目もあわせようとしなかったから、てっきりまだ許せないのかなと思っていたんだけど。


玲生くんはお兄さんが言った『お前なんていなくなればいいのに』っていう心無い言葉に傷ついて家を出てきたんじゃなかったのかな。


「私は玲生くんが怒っているからあんな態度をとって許してあげないのかなって思ってたんだけどそうじゃないの?」


「いや、そんなんじゃ」


「……」


「むしろ、俺のことを嫌ってくれたらいいのにってそう思ってるよ」


彼は前髪をかき上げて、目を伏せる。


「どうして?」


「その方がお互い楽になっていいんじゃないかって。
なまじ兄弟の情なんて持っていたらこの家では、やっていけないような気がして。
特に兄さんは優しすぎるからね」

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