今日から不良王子と同居します。
「まあ、そういう流れにだんだんとなってきてさ。
でも、初めは俺全然気が付かなくって。
兄さんだって俺のことをほめてくれてたし自慢の弟だって言ってくれてた。
俺はなにかを作ったり開発したりそういう仕事が好きだったから経営者とかには興味が無くて。
俺、昔から兄とは仲がいいつもりだったから、俺の気持ちは言わなくてもわかってくれてると思ってた。だけどある時」 


苦しそうに言葉を切った彼は瞳を閉じで項垂れてしまう。


私は彼に寄り添うように近づいて背中をさすってあげた。


たぶん、話すことさえ苦しい事なのかもしれない。


「ある日、兄が倒れてしまったんだ。
仕事や勉強のしすぎで、過労だったみたい。昔から真面目でコツコツやる努力家だったけど何日も寝る間も惜しんで頑張っていたみたいで……」


「その時初めて気が付いた。あの言葉を投げつけられて初めて。
兄が俺のことをプレッシャーに感じてずっと苦しんでいたことを……」

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