今日から不良王子と同居します。
「兄は小さいころからずっと遊ぶことも我慢して神崎家の跡取りとしての教育を受けてきたのに、勝手気ままにしていた俺なんかに脅かされるようになってだんだんと精神的にもまいってきていたみたいで」


「俺はそれから自分なりに父に自分のことは諦めて欲しいって説得したり、父の期待をわざと裏切るようなことをしてみたけど全然だめで」 


彼の話を聞いていて、ふと思いあたることがあったので尋ねた。


「期待を裏切るようなことってもしかして玲生くんが豊之坂工業高校に入ったのもそのため?」


「うん、いくらなんでもあんな学校に入学したら俺への期待だって地に落ちるだろうって思ったんだけど」


彼がわざわざ不良高校を選んだのは、そんな理由があったんだ。


これでやっと腑に落ちた。


「それで、どうだった?」


「かえって逆効果だった。お前は大物だ、若いうちはせいぜい暴れておけとか言われて。父にとっては自由勝手にやってるだけの俺が凡人とはスケールが違う、そんな奴に後を継がせたいって思わせてしまった。

それでもうだめだって思った」

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