今日から不良王子と同居します。
「そ、そうなんだ」


確かにある意味、彼のお父様が言っている意味もわからいではないかも。


より優秀な人材に未来の神崎グループを託したいと思ったのかもしれない。


ひいき目かもしれないけど、私にも玲生くんは人の上に立つべき人間のようにおもえる。


だけど、本人の意思は違う。
 

一番大切な本人の気持ちが置き去りにされてしまっているんだ。


追い詰めあられた玲生くんはきっと、お兄さんのために自分へ与えられた恩恵のすべてを捨てるつもりで家を出てきたんだ。


そのくらいに彼はお兄さんを想っていたってこと。


「それで、家を出たいって思ったんだね。すべてはお兄さんのためだったんだね」


「そんなにかっこいいもんじゃないよ。
俺はもともといい加減だし、兄に比べたら後継ぎになる器じゃないって思っただけ。
だから俺はもう、兄にはかかわらないほうがいいって思った。
家を出て神崎家とはいずれ縁を切るつもりでいたんだ」
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