今日から不良王子と同居します。
「は?そんなこと面と向かって言えるわけない」
彼は大きな声を上げて拒絶したけれど……。
それと同時に、ドアが勢いよく開いて。
「玲生っ」
転がるように走ってきたその人は瞳から大粒の涙をぽろぽろ流していて顔もぐちぐちゃで。
「兄さん」
「玲生くんのお兄さん」
うそっ、もしかしてさっきの私たちの会話を扉の外で聞いていたんだろうか?
いつから?
ううん、でも聞いてて悪いことなんて一言だって言っていない。
玲生くんが本当はお兄さんのことを大好きで、彼への思いやりから家を出たんだってこと。
そのことをこんな形で、お兄さんに伝わったんならそれはそれで素敵なことなんじゃないかな。
「ごめん、僕のせいで、ごめん、ひどいこと言って。
僕は弱くてあの時どうかしてて、だけどもっともっと強くなるから。おまえや家族を守れるくらい強くなれるように努力するから」
お兄さんはそう言いながら玲生くんに歩み寄りその両手をギュッと握る。