今日から不良王子と同居します。
謎めいた御曹司
彼の事情
「学校までお送りするので乗ってください」
2人で玄関まで出たら彼はそのまま歩いて出て行こうとしたので慌てて呼び止めた。
「え、俺はいいよ。学校までは電車で行くから」
「でもここは駅まで遠いですし、車で行った方が早いですから乗ってください。遅刻したらいけないので」
「遅刻くらい別にいいよ」
彼はけだるげにため息をついた。
けれど、私もここで引くわけにはいかない。
彼には我が家のお客様としてくれぐれも大切にしてやってほしいとお父様からお願いされている。
だから、私は精一杯おもてなしないと。
彼の毎日の学生生活を健やかに過ごしてもらうのも大切なこと。
学校を遅刻させるなんてもっての他だ。
「ダメですよ、うちでお預かりしている大切なお客様なんですから、怠惰な生活をされたら困ります」
「怠惰って……。わかったよ。じゃあ車で送ってもらおうかな」
彼は諦めたようにふぅって息を吐く。
「はい、どうぞ。ええっとどこの高校ですか?」
「星之坂工業高校」