今日から不良王子と同居します。
彼は切なそうにそう言って握った手の力をぐっと強くする。


緊張が伝わってきて胸の鼓動がますます早くなった。


どうしよ、おかしくなっちゃいそう。


「このままだと、俺やばいから。音葉さんとこれ以上一緒にいたらつい期待して突っ走ってしまいそうで」


「期待って?」


「俺が音葉さんのことを好きだから」


「えっ」


「俺、ずっと音葉さんの家にいたいなって思ってた。そのくらい毎日、傍にいられるだけで嬉しかった。
だけど、
これ以上そばにいたら、自分が抑えられそうにないんだ。音葉さんの幸せを壊してしまいそうで……怖いから」


思わず彼の顔をじっと見つめた。


とても冗談を言っているようには見えない真剣な様子。


「これ以上好きになったらいけないってずっと自分に言い聞かせてたけど、そんなの全然できなくて」


彼の燃えるような青い瞳を直視できなくて俯いてしまった。


玲生くんが、私を好きだって言った。


本当は嬉しくてたまらない、だけどそれを悟られちゃいけない。

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