今日から不良王子と同居します。
やだよ、こんな突然のお別れ。一生会えないみたいなサヨナラの言葉も……。


「俺、こんな形でしか音葉さんのことを守れないから。
潔く諦めるよ、音葉さんも俺のことは初めからいなかったものだと思ってくれていい」


彼のことを初めからいなかったものになんて、できるわけないのに。


まるで、出会わなければよかったみたいに。


どうしてそんな残酷なこと言うの。


私を守るって言ったのは、私のことを諦めるって意味だったの?


反論したい、だけどできない。


私は彼に何も期待させることなんて言えないから。


ただこの期に及んでも、ここでお別れするのが信じられなくて、彼に尋ねてしまう。


「玲生くんまた会えるよね?」


これで本当にお別れじゃないでしょ?そんなのうそだよね。


嘘だって言って欲しい。


未練がましい私はすがるように彼を見上げた。


彼はちいさく首を振って優しく笑いかけてくる。


その青い瞳の色は悲しいくらいに綺麗。
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