今日から不良王子と同居します。
この気持ちは押し殺して彼に悟られないようにしないといけないから。


だから、声を殺して心の中で泣いていた。


彼が立ち去った後にとうとう耐えられなくて、そのままぺたんと地面に座り込んだ。


冷たい土の上で、私はやっぱり声を出さないように泣くしかなかったんだ。


私の心の中にいる彼はいつの間にかこんなにも大きくなっていたのに。
 

彼がずっと私の家にいてくれたらいいなって思っていたのに。


彼が告白してくれて嬉しかったのに。


それなのに、本当の気持ちを隠して漏らすことが出来ない。


彼の気持ちを受け入れることは、できないから。


周りの人たちの気持ちを振り払って身勝手な心のままに行動出来たらどんなにいいだろう。


ううん、そんなこと私には出来っこないよ。


だけどせめて……かなわなくても。


本当はキミといつまでも離れたくないって。


私もキミが好きだよって。


言いたかった。


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