今日から不良王子と同居します。
いよいよ、心がちぎれかけていたんだと思う。


自分でも気がつかないうちに、孤独に侵されていくみたいに。


「え……ウソ」


彼の部屋に足を踏み入れた瞬間、凍り付いて動けない。


思わず、悲鳴を上げてしまった。


「や、どうしてっ、いやっ、いやー」


自分でも頭がおかしくなっちゃったのかなって思うくらいに悲しくて……。


「うう、うっ、どうして、やだ、こんなのやだ……」


我慢するたびに心の中で膨れ上がる風船がとうとう限界になった瞬間だった。


パンって大きな音をたてて爆発したような気がした。


いつもいつも、周りの目ばかりを気にしていた私が気が付いたら、声をあげて泣いていた。


わあっーって大きな声で、子供が癇癪を起こしたみたいに泣いてしまい止められなかった。


どうしてこんなに悲しかったのか、それは。


彼の部屋から、彼の荷物がひとつのこらず消えていたから。


この時の私にとってこんなに残酷なことはなかった。

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