今日から不良王子と同居します。
泣きじゃくる私の声は使用人の人たちを驚かせたみたいで、数名のメイドさん達が駆けつけてきた。


「お嬢様、どうされましたか?」


「神崎のお坊ちゃんがきょう午前中に荷物をとりにこられて華子さんに挨拶されて行かれましたよ、お嬢様にもよろしくお伝えくださいと言われて」


泣きじゃくる私にメイドさん達は説明してくれたけど、それを聞いたらますます悲しくなった。


涙が止まらない、どうしよう。


私、とうとうこわれちゃったのかな。


「音葉お嬢様、まあまあどうされましたか?そんなに泣いて」


その後に駆けつけてきたばあやが、ギュッと強く抱きしめてくれてようやく少し落ち着いた。


それから自分の部屋のベッドに運ばれてからも、またシクシク泣いていて。


会えるって、信じていたのに。


彼の荷物さえあれば、もう一度必ずって、馬鹿みたいにそう思って。


だけど、私には会わないようにわざと学校へ行っている時間に玲生くんは荷物を取りに来た。


< 307 / 373 >

この作品をシェア

pagetop