今日から不良王子と同居します。
彼がベッドの傍らで看病してくれている都合のいい夢。


幸せな夢、だってあんなに会いたかった彼に会えたんだから。


もうこのまま夢が覚めないでも構わないよ。


もう現実の世界になんて戻りたくないもん。


それくらいここ2週間はつらくて寂しくてもう耐えられなかったんだよ。


だって、キミに会えなかったんだもん。


「ばあやさんから連絡が来て……音葉さんが泣いてたって聞いて」


「泣いてないよ」


夢の中の彼に強がってみせた。


そんなのなんの意味もないのに。


「そうか、そうだね」


彼はちょっと笑って私の頬にハンカチをおしあてる。


「もう少し寝て、さっきお医者さんに点滴をしてもらったから熱が下がってきたみたいだよ」


「やだ」


「どうして?」


「いなくなっちゃやだよ」


「うん、ここにいるから大丈夫だよ」


彼は爽やかに笑ってる。だから、ちょっと腹が立ってくる。

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