今日から不良王子と同居します。

授業をさぼってどこに行くんだろう、ちょっと楽しそう。


ちょっとテンションが上がった私はそのことにたいして、あまり気に留めなかったんだけど。


けれど、この後決して楽しいなんてのんきなことを言ってられない場所に連れていかれることになるとは、この時はまだ知る由もなかった。




「直政くん、ここって」


おそるおそる彼に尋ねた。


「音葉は一度来たことがあるんだよな」


直政くんは無表情でそう言ってから、車の後部座席を開けた。


実はこの場所に到着するまで、車の中で彼も明日香ちゃんもほとんど喋らなくなってしまって。


ずっと変な雰囲気だった。


さっきまでの直政くんの笑顔はどこかへ行ってしまった。


ううん、もしかしたら私を連れ出すためにわざと？


おかげで、なんの疑いもなく車に乗せられてここへ連れてこられてしまった。


「へえ、噂通りだな。みろよ音葉、校舎の窓に一枚もガラスがついていないぞ」


「直政、ここって……」