今日から不良王子と同居します。
「そうなんですか」
「ゆくゆくはあの家とも縁を切るつもりだから、俺みたいな奴を大事にしたって大河内家にはなんのメリットもないよ。
寝る場所さえ与えてくれたら食事なんかも適当に外で食うし」
先ほどまでの砕けた口調よりも少し投げやりな感じのする話し方だった。
表情も急に真顔になるから、ハッとした。
「神崎家と縁を切るってそんな……」
少しの期間だけ、彼をあづかることを父から頼まれたもののそこまで詳しい事情は知らされていなかった。
目の前の彼が、自分の生まれ育った家と縁を切りたいとまで思っているなんて。
それってどこまで、彼のご両親はご存知なのかな。
「お嬢様にはわからないかもしれないけど、俺にもいろいろあってさ。もう、わずらわしい上流社会のしがらみから解放されたいんだ」
彼は前髪をかきあげて不機嫌そうに吐き出した。
情けないけど一瞬彼から目をそらせて俯いてしまった。
だって私には高校1年生の彼が家を出る覚悟をしてることの意味が到底理解できなかったから。
なにがあったんだろう。
よっぽど辛いことがあったのかな。