今日から不良王子と同居します。
だけど、会ったばかりの私がそこまで踏みこんで聞いてもいいんだろうか。


尋ねたとしても答えてくれるのかな。


なんだか、不機嫌そうな顔をしているし。


さっきまでとはまるで雰囲気が違う彼。


神崎家の話をしたのはまずかったのかな。


そーっと伺うように彼を上目遣いで見たら、目と目が合って苦笑された。


「ごめん、音葉さんには全然関係ないのに嫌な態度して。いろいろ思い出したらムカムカが蘇ってきてさ。でも気にしないで」


「あ、うん」


気にしないでと言われてもな。


やっぱりどんな顔をしたらいいかわからないよ。


「そんな顔しないでよ。綺麗な顔が台無しだ」
　

からかうような声、だけど彼の本心を隠しているように感じた。


「え、そんな顔って」


「そういう、はれ物に触るような態度しないでよ。お嬢様には関係ないことだから俺のことは放っておいてくれていいから」
　

どうして？こんな言い方をするのかな。


全て悟ったように、そんな風に突き放すような。


そんなに、悲しそうな瞳をしてるくせに。


平然としたフリで隠してるつもりなのかもしれないけど、私にはわかった。


自分の家を出てきた彼がなにかに、耐えながらここにいるってこと。


簡単に話したくないような悩み事でもあるのかな。


だけどキミはまだ、16歳なんだよ。まだ甘えてもいい、誰かに頼ったっていい、子供なんだよ。
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