今日から不良王子と同居します。
「やめて、明日香ちゃんから離れて」


私は慌てて彼女を助けようとするけど、グラサン男の方に捕まえられてしまって動けない。


「おわっ。お姉さんすっげ―いい匂い。たまんねー。俺と空き教室いこうぜ」


クンクンと匂いを嗅ぐように顔を近づけられて、サッーと血の気が引いていく。


「いやっ」


ギュッと目をつぶって顔を背けたその時、いきなりその男の身体が私から離れて。


「おい、俺の婚約者に触るな」


低い声がしたその瞬間、勢いよくサングラスが宙に浮く。


男の身体がくるっと回転して地面に叩きつけられた。


驚いて腰を抜かしそうになった。


冷静な表情の直政くんはパンパンと手を払い、呆然とする私の傍によって来る。


「悪い、音葉。神崎を探そうとして少し離れてしまって。目を離したすきにこんなことになって」

「う、うん大丈夫だよ」


そうか、直政くんがさっきの人を柔道かなにかの技で投げ飛ばしたんだ。


そのことをようやく理解すると、ほっと胸を撫でおろす。

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