今日から不良王子と同居します。
それはまるで理性を失っているような。


こんなことって。


すぐ横にいて周りを見下すように冷たく睨んでいる彼は、私の知っているあの優しい直政くんじゃない。


目の前で繰り広げられている出来事が現実のものとは信じたくない。


「音葉、危ないからこっちへ」


呆然とする私の腕を、後ろから引っ張る明日香ちゃん。


よろけるように後ろへ下がった。


明日香ちゃんはそんな私を支えるように抱き留めてくれた。


だけど、彼女も小さく震えていて今にも泣きだしそうな顔。


「明日香ちゃん」


「音葉、おかしいよこんな直政」


「ごめん」


私のせいだ。ぜんぶぜんぶ、私のせい。


その時、ドシンという音がする。


そちらへ目を向ければ金髪の髪色をした男の子が地面に背中から叩きつけられた音だってすぐに分かった。


背中を打った彼はどうにか受け身を取ったみたいだけど、おそらく投げ飛ばされたんだ。かなり痛そう。


今何が起こったのか。


こんなことが出来るのは、直政くんだけ。

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