今日から不良王子と同居します。
「う、うん、でも」


「どうかした?」 


さっき彼が言ったことでどうしても納得できないことがあった。


少し迷ったけれど、意を決して口を開いた。


それはどうしても私の中で譲れないことだから。


「あなたが神崎の家を出るつもりだから我が家が大切に扱わなくていいなんて勝手に決めないで」


「えっ?」


驚いたように目を見開く彼。私が、反論してくるなんて予想していなかったみたい。


「あなたは私や、大河内家がお預かりしている大切なお客様です。そんな風に自分のことをどうでもいいみたいに言わないで」


「……」


彼は眉を寄せて、黙り込んでしまう。


「それに適当に外で食事するなんて、たまにならいいかもしれないけど、あなたみたいな育ち盛りの子には栄養バランスもちゃんと考えた食事をしなきゃ。食事を甘く見てはいけないんだから」


食事のことに関しては、普段から耳にタコができるくらいにばあやから注意されていることで、完全に受け売りだ。  


「だから食事はきちんと我が家がご用意します。私と毎晩一緒に食べてもらいます。それ以外にもあなたには快適に過ごしてもらえるようにいろいろと考えますから」


彼が自分の生活に関して投げやりに思ってるとしたら、たまらなくて。
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