今日から不良王子と同居します。
「おまえがいないからこうしたまでだ。音葉によって来るハエは叩き落す主義なんでね」


「ハエ?」


玲生くんが眉間にシワを寄せて直政くんを見据える。


「ああそうだ、瞳の青いハエは特に立ち上がれないくらに叩き潰したい」 


直政くんは冷徹な瞳で淡々と答える。


「へえ、やる気なんだ俺と?」


「ああ、所詮たかだか不良だろ」


「俺が不良だろうが何だろうがあんたには関係ない」


玲生くんがさっきよりも少し声を荒げる。


「関係ないさ、おまえが音葉にちょっかいさえ出さなきゃな」


「随分余裕がないんだな。あんたは彼女の婚約者だろ」   


「余裕なんて、あってたまるか。俺は本気で音葉を……。
それなのにおまえは……。
どうして、音葉を泣かした?おまえは音葉に何をしたんだ?
返答次第では容赦しない」


直政くんは忌々しげに吐き捨てるように言った。


そんな……。


直政くんは私が玲生くんに何かされて、それで泣いていたって勘違いしてるのかな。


まさかそんなことあるわけない。


違うのに、私が泣いていたのはただ玲生くんに会えなくてつらかったからだよ。

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