今日から不良王子と同居します。
うざい奴だと思われるかもしれないってわかってるけど、私はどうしてもそれだけは言っておきたかった。


会社同士のことはよくわからない、ただ私はお父様が私に頼んできた役目をきちんと果たしたかっただけ。


そしてそれ以上に、彼から目を逸らして放っておいてはいけないような気がした。


「……あ、そ。なんだよ、子ども扱いとかすんなよな」


ふてくされたようにそう言った彼は、フイッと窓の方へ顔を向けてしまった。


ああ、ちょっと怒らせてしまったかも。


私の言い方、あんまりよくなかったのかな。


ちょっと偉そうに聞こえたかも。


もっと優しく言ってあげることだって出来たはずなのに。


やっぱり、私って誰かの面倒を見たりお節介をやいたりするのは向いていないのかな。


ああ、沈黙が辛いな。


彼がヘソを曲げてしまったのかなと少し心配していたけれど、しばらくしてから彼が口を開いた。


窓の方を向いたままだったけれど、ぼそりと一言。


「わかったよ」


「えっ」


「メシ、一緒に食えばいいんだろ」


「いいの?そうよかった、神崎さん」


彼がそう言ってくれたことが嬉しくて、声が弾んだ。


「玲生でいいよ。これ以上神崎さんて呼ぶんだったら言うこと聞かないからな」


「はい」


「それと敬語もやめて。堅苦しいのは苦手なんだ」 
  
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