今日から不良王子と同居します。
彼女は掌で瞳の涙をぬぐい、私をまっすぐに見つめる。
「音葉、これだけは信じて。私も直政も音葉のことを大切に想ってる
音葉はいつも自分よりも周りのことを大切にしようって自分を押し殺してしまうけど。
音葉のまわりにいる私や直政だって音葉に幸せになってもらいたいって思ってるよ」
「明日香ちゃん」
「だから、もう自分に正直になっていいんだよ」
彼女は、包み込むような優しい眼差しで微笑する。
あ、そうだ、これって同じだ。
ばあやも、そんな風に私に言ってくれていたことをふと思い出した。
ああ、明日香ちゃんは私のことを想ってこんなに心配してくれたんだ。
私は彼らの何を見ていたんだろう。
大事にしたいって思っていたのに、どこかからすれ違ってしまっていた。
こんなにも、私を大切にしてくれている人たちに、本気の本音でぶつかっていかなかった。
かえって、それが彼らを傷つけていたかもしれないのに。
「明日香ちゃん……ごめんね、ありがとう」
「直政くん……」
直政くんにも声をかけようと思ったけれど、彼は片手で顔を隠して背中を向けてしまう。
そして何にも言わずにゆっくりともと来た道を歩き出した。
「音葉、これだけは信じて。私も直政も音葉のことを大切に想ってる
音葉はいつも自分よりも周りのことを大切にしようって自分を押し殺してしまうけど。
音葉のまわりにいる私や直政だって音葉に幸せになってもらいたいって思ってるよ」
「明日香ちゃん」
「だから、もう自分に正直になっていいんだよ」
彼女は、包み込むような優しい眼差しで微笑する。
あ、そうだ、これって同じだ。
ばあやも、そんな風に私に言ってくれていたことをふと思い出した。
ああ、明日香ちゃんは私のことを想ってこんなに心配してくれたんだ。
私は彼らの何を見ていたんだろう。
大事にしたいって思っていたのに、どこかからすれ違ってしまっていた。
こんなにも、私を大切にしてくれている人たちに、本気の本音でぶつかっていかなかった。
かえって、それが彼らを傷つけていたかもしれないのに。
「明日香ちゃん……ごめんね、ありがとう」
「直政くん……」
直政くんにも声をかけようと思ったけれど、彼は片手で顔を隠して背中を向けてしまう。
そして何にも言わずにゆっくりともと来た道を歩き出した。