今日から不良王子と同居します。
昨夜私にキスしてきた余裕はどこへいったのやら。


なんだか可笑しくて笑いそうになるから困った。


「ああ、着いたのか。ありがとう。この辺りは危ないから早く車を出して。絶対に降りてきちゃだめだよ」


彼は早口に言って逃げるように、急いでドアを開けた。


「玲生くん、行ってらっしゃい」


その背中に声をかけたら、ピクリと反応する彼。


「……」


「玲生くん?」


彼は振り返らずに口を開く。


「あ、うん。いってきます」


ぶっきらぼうにボソボソと。


それがますます可愛くてついに私はこらえきれなくてフフって声を出して笑ってしまった。


「なんだよっ」


ちょっと照れくさそうなのが、余計におかしい。


「じゃあね、しっかりお勉強してきてね」


「だから、子供扱いすんなって」


うんざりしたようにそう言って彼は車のドアを閉めるので、窓を少しだけ開けて手を振った。


「窓、早く締めて」


「うん」


彼は真剣な顔をして周りをきょろきょろ見まわして気にしているようだ。


どうしたのかな。


「じゃあ」


彼はクルッと背を向けて振り返らずに高校の正門を入っていった。
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