今日から不良王子と同居します。
「わっ」


身体がふわりと宙に浮いた瞬間、彼にぎゅっと強くしがみつく。


恥ずかしいよりなにより、この時は彼だけが頼りだって思ったからなりふり構わずすがりついた。


だけど、いわゆるお姫様抱っこ。


生まれて初めてだ、こんなの。


そして彼は早足で、正門の方へ急いで移動してくれた。


「ごめんね、重いでしょ?」


「いや、軽いよ」


彼の顔が凄く近くにあるから、胸がドキドキと高鳴ってくる。


彼も照れくさそうにしていて、目線を合わせない。


「玲生、なにやってんだおまえ」


すると5人ほどのグループが正門前で待っていたみたいで私達を見てガハハと笑い出した。


「王子様かお前、見た目通りかよ」


この状況にすごくウケているみたい。ひぇっ、なにがおかしいのかな。


「うっせー。黙れ」


不機嫌そうな玲生くんは彼らをギロッと睨んだ。


「怒るなって。彼女、紹介しろよ、玲生」


彼らのうちの1人が、玲生くんにそんなことを言う。


「玲生くん?」


「ああ、こいつらは大丈夫。見た目はあれだけどダチだからさ」


ダチっていうのはたしか、お友達という意味だよね。

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