今日から不良王子と同居します。
急に怖くなった私は彼のブレザーをぎゅっと掴む。


玲生くんの友人達もサッと身構えた。


「おい、玲生。今日はそっちの人数が少ないから不利なんじゃねーか。おとなしくその女をこっちに貸してくれたら今日のところは見逃してやってもいいぜ」


その女って、もしかして私のこと?どうしよう、絶対そうだよね。


「先輩、あいにく彼女は不細工な男は嫌いなんだよ」


それに対して明らかに馬鹿にしたような態度で返事をする玲生くん。


と同時に後ろにいた友達に向かって目線と手で合図したように見えた。


玲生くんの友達のピンク頭の蒼汰くんと青い頭の男子が私の背後に歩み寄る。


どうしよう、鈍感な私から見てもわかる。


これは喧嘩が起きる前の一触即発の空気。


互いに睨み合う彼らからは痛いほど殺気が伝わってくる。


「足腰たたなくしてやろうか、お坊ちゃん」


「それはこっちのセリフですよ、先輩」


玲生くんは、敬語で話してはいるもののさっきまでとは打って変わったような冷酷な表情。


「玲生くん、喧嘩なんてしちゃだめだよ、やめて」


「音葉さん喧嘩じゃないよ。これはただの朝一のレクリエーションだから」


私に向き直った彼は優しい表情で笑いながらブレザーを掴んでいた私の手を引き離した。


「で、でも」

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