今日から不良王子と同居します。
「この学校の生徒はみんなシャイで口下手なんだ、口で話す代わりに拳を交えてお互いを理解していくんだよ」


玲生くんがわけのわからない自論を述べるけどさっぱり理解できない。


「安心して、音葉さんのことは絶対に守るから」


「玲生くん」


守るってどうやって?あんなに強そうな人が相手だよ。ここは、一緒に逃げた方が賢明なんじゃないかな。


だけど、彼の鋭く光る青い瞳は、余裕すら感じられる。


「そうそう俺らにとっては日常さんじだから」ピンク頭の蒼汰くんが面白そうに口を開く。


「日常茶飯事な」


「そうそれ」


玲生くんがすかざすつっこむ。


もうっ。なにがレクリエーションよ、日常茶飯事よ。絶対今そんな呑気な状況じゃないのは私にだってわかるよ


「おいどうした、玲生、ビビってんのか?早く女を渡せよ」 


「誰にも渡さねーよ」


「かっこつけんな、こら」


「おまえらなんかに指一本触れさせねー」


相手を挑発するように叫ぶ玲生くん。
 

相手側のリーダー格の一人が持っていた木刀を床にたたきつける音がして飛び上がりそうになった私。


そしてもう一度振り返った彼は蒼汰くんに向かって小さく言った。


「俺があいつらを引き付けるから彼女を車へ連れて行ってくれ」


「おう、まかせとけ。玲生まけんな」


彼らのやり取りを聞いた私は慌てて口をひらく。


「待って、行っちゃだめ」

< 52 / 373 >

この作品をシェア

pagetop