今日から不良王子と同居します。

頷いた彼らは踵を返してもと来た道を凄い勢いで走って行った。


「お嬢様、離れてください、窓を締めますから」


いつのまにか運転席に乗り込んでいた川本さんは切羽詰まった表情で振り返った。


車が動き出すときに一瞬だけ玲生くんが確認できたのだけど、グラウンドの砂煙が立ち込める中に彼の姿があって。


相手から奪い取った木刀を足で真っ二つに壊しているところだったから、びっくりしてしまった。
　

「お嬢様、大丈夫ですか？怪我はございませんか？」


「うん、大丈夫よ。玲生くんが、みんなが助けてくれたから。でもどうしよう、玲生くんがあんなことになってしまって。わたしのせいだわ」


まだ恐怖が収まらなくて身体がガクガク震えている。


「お嬢様、落ち着いて」


「やっぱり、戻った方がいいわ。助けなきゃ」


玲生くんになにかあったらと思うと胸がつぶれそうだった。


だけど、猛スピードで運転する川本さんが意外なことを告げる。


「大丈夫ですよ、お嬢様。先ほど警察を呼びましたから」