今日から不良王子と同居します。
「ごめんね、ばあやは私の亡くなった母の代わりに、私を守らなきゃって思ってるみたいで、少し心配症なの」


言い訳するみたいに彼に謝った。


「あ、うん、音葉さんのお母さんのことなら、ばあやさんから聞いてるよ」


「そっか」


「ばあやさん言ってた、音葉さんは周りに対する気遣いが出来る優しい子なんだって、もうべた褒めだったよ」


「え、ばあやったらそんなこと言ってたんだ」


「うん、音葉さんのお母さんが、亡くなってからはこの邸を支えるために強くなろうと頑張ってて本当に偉いって」


それは褒めすぎかも。ちょっと恥ずかしいな。


だけど、ばあやがそんな風に私のことを認めてくれていることが嬉しいなって素直に思う。


「だからこそ、そんないい子の音葉さんに俺みたいな奴を近づけたくないのかもね。
まあ、普通そう思うよな」


彼は深いため息をつく。


わ、どうしよ。ますます気まずい雰囲気になっちゃったかも。


ばあやから見たら、表面的な彼は家出中の不良でプレイボーイなのかも。


だけど、私はそれだけじゃないことを知ってる。


ううん、まだまだ知らないことはたくさんあるけど、これだけは間違いなくわかる。


あの時、身体を張って不良達から私のことを守ろうとしてくれた彼。


あの時の彼の誠実さは本物だってこと。


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