俺の宝物は、お前の笑顔。
あたし達は、最初に体育館で軽音部の演奏を聴くことにした。
体育館の出入り口では、係の人がサイリウムの入った箱を持って座っている。
「サイリウム、何色にします?」
赤、オレンジ、ピンク、黄色、緑、青、紫、白とさまざまな色のサイリウムがある。
「黄色で!」
あたしと高畑くんは、黄色いサイリウムをもらい、愛菜はピンクのサイリウムを選んでいた。
宗馬はというと……サイリウムも入った箱に手を近づけてはプルプルしている。
「色ごときでそんな悩むか?」
高畑くんはその姿を見て、言いながら冷や汗をかいていた。
「自分が納得する色の方が楽しめるに決まってんじゃん」
「あれ、宗馬。宗馬って水色好きでしょ?」
宗馬は小さい頃から水色が大好きで、どんなものにもすぐに水色や青系の色を選んでいたはずだ。
そんな宗馬が、水色のサイリウムがあるというのになんですぐに決めないんだろう?
「ピンク?」
気がつけば、宗馬は愛菜と同じピンクのサイリウムを手にしていた。
まさかのピンクを選ぶだなんて。
2人の様子を見ると、愛菜も高畑くんも目を丸くしている。
「男がピンク持っちゃダメなんて誰も言ってねーじゃん」
確かにそうだが、周りを見たところピンクのサイリウムを持っている人は誰もいないし、そんな宗馬の姿が珍しすぎて言葉にならなかった。