俺の宝物は、お前の笑顔。

「こんにちはー軽音部でーす!」



軽音部の発表の時間になり、みんなはサイリウムを振りながら、わあーっと声を上げた。


明るくもあり、流麗でもあるキーボードの音色。
刺激的な音を出すエレキギター。
心に響くくらいの声を上げるボーカル。



「頑張ってえー!!」



「さあ、盛り上がっていきますよー!」



ボーカルの人の声で、客席は歓声とサイリウムの光でいっぱいになった。


ポピュラーな曲を、次々と披露していく軽音部。
歌詞に掛け声がある部分は、客席の人たちは声を合わせていく。



「アンコール! アンコール! アンコール! アンコール!」



「アンコールにお応えしてー……!」



曲が発表された後も、観客席は『キャ〜!』という声でいっぱいになり、サイリウム達もバラバラに揺れているのがわかった。


……隣にいる高畑くんは、サイリウムを少し振る程度で声を上げることも笑顔になることもなかったけど。


少しは声を上げてもいいと思うんだけどなぁ。


それとも、好きな曲が特になかったのかなぁ。
有名な曲も結構演奏してくれていたのに。




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