俺の宝物は、お前の笑顔。

ジャンプかぁ。
確かに面白そう。



「では、撮りますよー。はい、チーズ!」



あたしはスタッフさんが言った途端に、箒にまたがった状態で勢いよくジャンプする。



「あっ、ちょっとブレちゃってます」



スタッフさんが、笑いながら撮ったばかりの写真を見せてくれた。


その写真は確かに、宗馬と愛菜は綺麗に撮れているけれど、あたしの体だけぼやけていてもはや人体か? と疑ってしまうほど。



「えー、どれどれ?」



言いながら、宗馬も覗き込んでくる。



「わっ、やっば!」



スタッフさんのカメラに写った写真を見ながら、宗馬がお腹を抱えながら笑い出した。



「もー、そんなに笑うこと?」



「だって、ゆりあだけブレッブレじゃねぇか! あー! 腹が痛え!」



「うるっさいなぁー」



「まあまあ2人とも。もう一回だけ撮ってもらおうよ」



あたし達をなだめる愛菜を見て、『愛菜はメイド服の方が良かったんじゃないか』と思ってしまった。



「そうですね、すみません。もう一度だけお願いします」



宗馬はまたさっきの位置に立ち、あたしも同じ場所でジャンプをする。



「綺麗に撮れましたよー」



「ありがとうございます!」



箒で飛んでいるような様子を綺麗に撮ってもらえた写真を見て、あたしは安心した。

……だって次もブレていたら、宗馬にますますバカにされるかもしれないもんね。




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