俺の宝物は、お前の笑顔。
イベントから1週間が経った。
期末試験が、迫ってきている。
だから、愛菜からもメイク道具を買いに行ったりするのは、期末試験が終わってからだと言われた。
袖川さんとも話して、彼女も愛菜の言う通りだと言ったことで、試験が終わる日は木曜日ということで2日後の土曜に行くことになった。
帰りのホームルームでも、「文化祭が終わったことで、しっかり期末に切り替えるようにしなさい」と先生は案の定のことを言って終わった。
「えーっと、期末テストの初日はなんだったっけ?」
帰りのホームルームが終わったあと、カバンの中に筆箱やら教材やらを詰め込み、あたしは愛菜に聞く。
「現代社会、古典、物理の3教科だよ」
「ありがとう愛菜〜」
「それにしても、古典と物理があるのはきついよぉ……」
「まあまあ、ゆりあ。また勉強しよ」
……まぁ、文化祭からテストに切り替えなきゃいけないのは確かなんだけどね。
あたしは思わず、高畑くんに目をやる。
あれから、また席替えして、彼の席は廊下側の後ろから2番目。
あたしは真ん中の列のそのまた真ん中ということで、高畑くんとは離れてしまった。
それにしても彼は、切り替えが早すぎる気がする。
文化祭が終わり、誰とも話すことなくさっさとホームルームが終わったら教室を出ちゃうし。
「高畑くーん! 勉強、よかったら教えて〜」
「あたしもー!」
女子から追いかけられて話しかけられても、いつも通り聞こえないふりをしている。