俺の宝物は、お前の笑顔。
「ねぇ、健二のことさー、実際星野さんはどう思ってるの?」
袖川さんの唐突な質問に、あたしは思わずシャーペンを落として、表情さえも動かせなくなった。
「あはははっ、顔が赤いってー! しかも固まっちゃってるじゃん」
「だって、袖川さん……」
「ほんっと可愛い!」
まつ毛をクリン、とさせて目をニコッと細める袖川さんの口から出る「可愛い」は完全にブーメラン。
近くでは愛菜まで、うしし、と笑っていた。
「わたし達にだけなら、いいでしょ。教えてよ〜ゆりあ〜」
あ、愛菜までそんなことを言うの!?
「このこの〜、あたし達を信じないのか〜!」
袖川さんは、あたしの頬を冷たい指でツンツンと触ってきた。
「ええっと……ええっと……」
うまく言語化ができない!
「ってことは、好きってことでいいね!」
「え〜っ!」
「ゆりあ、顔に書いてある」
「ほんとほんと!」
「その、か、かおっ」
喋らないといけないのに、舌がうまく回らない。