俺の宝物は、お前の笑顔。
「家庭科と体育だけが5って……」
冬休み前、最終日。
あたしの通知表を見た高畑くんは、白い目になった。
「家庭科と体育は自信あるんだよねー」
そう言いながら、高畑くんの通知表をあたしは覗き込んだ。
「うそっ、数学も古典も地理も5!?」
あたしがかろうじて3を取れたなーと思う教科、高畑くんは見事に5を取っちゃってるし……!
あたし、高畑くんが5をとっている数学は2だし。
「お前、大学どうすんだよ……」
「えーっと……」
大学か。
そっか、高校を卒業したら大学に行かないとだもんね。
でも、あたしはまだ1年だし、将来の夢も決まってないから……。
「なんにも決めてない!!」
「アホ」
「そうだよ!」
高畑くんや愛菜と比べれば、あたしなんてアホの中のアホ。
愛菜も世界史や現代文で5、化学で4をとるなど、あたしのこのポンコツ成績とは比べものにならなかった。
「呑気に言ってらんねえぞ、親の顔が見たい」
「スマホで写真あるけど、見せよっか?」
「そういう問題じゃない」
高畑くんは、はぁー、と大袈裟なくらいのため息をついた。