俺の宝物は、お前の笑顔。

「ね、高畑くん」



星野は、突然呼びかけてきた。



「なんで高畑くんって、健二って名前なの?」



「さぁなー……。兄貴が『真一』って名前だからじゃねーの?」



一、二と続けば仮に俺に弟ができたりでもしたら、やっぱり『三』がつく名前にでもしてたんだろうか。


それか、女だったらどうだったんだろう。


……女といえば、星野の下の名前はひらがなで『ゆりあ』か。
妹が産まれたら、ひらがなの名前にでもしてたんだろうか。それとも、俺も兄貴も名前が漢字だから、それに合わせて漢字の名前にしていたんだろうか。


ははっ、今更考えても無駄なことだけどな。



「星野のその、『ゆりあ』っていう名前はなんでそうなった?」



「あたし? 単純だよ。あたし、生まれた時から目が二重だったみたいで、ママもあたしに似て外国人みたいな顔してるの。だから、出産に立ち会ったときに、おばあちゃんがまるでママが産まれてきたんじゃないかって思ったんだって。だから、外国人っぽい可愛い名前にしたいと思って、『ゆりあ』になったの」



外国人みたい、か。
確かになぁ。

雪のように色白で、柔らかそうな茶色の髪。
大きな二重の目。


まじまじと見ていると、ますます外国人っぽく見えてしまう。


そうやって俺が見ている間にも、星野は俺と目を合わせてくる。

……なんでか分かんないけど、やたらとむずむずしてくるな。





< 132 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop