俺の宝物は、お前の笑顔。
「だけど、ひらがなって漢字と違って意味があるわけじゃないじゃん? だから、漢字の名前に憧れてたんだよねぇ。愛菜って漢字も、『愛』に菜の花の『菜』だよ? 幼稚園の時は当然漢字なんてわかんなかったけど、学校に上がってから愛菜の名前の漢字知って、すっごい可愛い字使われてんだなぁって思うと羨ましくなっちゃった」
俺が何も喋らないことで、星野は1人でどんどん喋っている。
俺はまともに久保田とは話したことないし、まだ星野と話すようになってからそんなに経っていないから知らなかったけれど、2人ってそんなに長い付き合いだったのか。
「高畑くんの字もいいよね。『健康な次男』って感じ? お兄さん、どんな漢字なの?」
「真面目の『真』に一で真一」
兄貴の名前を空書きしながら、教える俺。
「真面目な長男に健康な次男……いいなぁー! 親御さん、名づけ上手なんだね!」
俺がただ教えただけなのに、星野は無駄に目をキラキラさせている。
親父がつけてくれた名前だし、俺自身も嫌いなわけじゃない。