俺の宝物は、お前の笑顔。

「ゆりあー?」



星野の下の名前で呼んでいる、女の人の声が聞こえた。

その呼びかけに、ピクンと反応した星野は辺りを見回す。



「あっ、パパ、ママ!」



見ると、星野と似たような明るい雰囲気の夫婦が手を振っていた。


……星野の両親か。


長い髪の毛を揺らしながら、屈託のない笑顔で星野は自分の両親の元へ走る。



「さ、帰りましょ」



「はーい」



俺の存在に気がついた星野の両親は、俺に会釈をしてくれた。咄嗟に俺も、会釈を返す。


……あんな弾けるような両親の間に生まれたら、まあ活発な子供が生まれるわけだな。星野がああいう性格をしているのに、納得できたような気がする。


星野が走ることで、またバッグについているアイボリーのクマが小刻みに揺れ出した。



「じゃ、高畑くん。またね」



星野は、両親に見せていた時と同じく屈託のない笑顔で俺に手を振りながら言った。


俺は、思わず頷くことしかできなかったけど。




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