俺の宝物は、お前の笑顔。
「ゆりあー? 外は寒かったし、もうコート脱いでお雑煮食べちゃいましょう」
「はーい!」
あたしは、ダッフルコートをハンガーに掛けてママが用意してくれたお雑煮を食べることにした。
おつゆの中に入った、もちもちのお餅を咀嚼する。
食べていれば、パパもお雑煮を食べに来るんじゃないかと思ったけれど、なぜか来る気配がなかった。
「パパはー?」
「パパったら、ちょっぴりふてくされちゃったのかしらね。部屋にこもっちゃったみたいだわ」
ママもそうだが、パパも大げさすぎるよ。
高校生にもなれば、人を好きにだってなるしデートを行く人だって増えるだろうに。
そもそも、あたしと高畑くんは全然恋人という関係ではない。
「落ち着いてって言ってるのにー」
「ふふふっ」
お雑煮のお餅を食べながら、ママはくすくす笑った。