俺の宝物は、お前の笑顔。

数日が過ぎて、バレンタインデー当日がやってきた。
授業も終わり、帰りのホームルームの後にあたしと愛菜は袖川さんを呼んで廊下でチョコを交換しあうことにした。


周りを見ると、他にもチョコを交換したり、配っている子もいた。



「これ、あたしからの友チョコね!」



「わたしは、友チョコならぬ、友クッキー」



愛菜が渡してくれた袋の中には、ハート型やプレゼント型、クマ型のクッキーが入ってある。



「うわぁ、めっちゃ可愛いー!」



「はい、あたしからも!」



袖川さんがくれたチョコレートの中には、ピーナッツが練り込まれてある。



「ありがとう! ピーナッツ入りも美味しそう」



「ん?」



袖川さんは、愛菜を見て目をくりんとさせた。



「ねえ、久保田さん。そのハートのチョコクッキーって……?」



愛菜の手には、赤いハートと濃いピンクのリボンで飾られた薄いピンクの袋が握られていた。
中には、生クリームとピンクのアラザンでデコられている、ハートのチョコクッキーが入っていた。


それに気がついた愛菜は、さっと顔を赤くしたが、なぜか目の輝きが隠しきれていない。



「ひ、秘密……!」



そう言って、愛菜は大事そうにピンクの袋を抱えながらどこかへ走り去っていった。




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