俺の宝物は、お前の笑顔。
愛菜と宗馬が2人で並んでいるところを見て、あたしはふと思い出した。
「じゃあもしかして、最近4人でクリパしてた時も、2人ともあんな風にそそくさと帰ってったのって……」
「そ! 俺の幼なじみは、物分かりがいいな! やっぱ最後は彼女と一緒にいたいじゃんか?」
あたしが言い終わるか言い終わらないかのうちに、宗馬は自慢気に答えた。
急いでいると見せかけて、2人っきりの時間をああいう言葉で作っていたんだね。
うまいことするなあ。
「だったら、俺らなんて誘わないで最初っから彼女と行け」
高畑くんは、かなり呆れている。
「あのピンクのケーキ食ったろ? あれは、さすがに俺も全部食える自信ないし、愛菜も少食だから、お前らに手伝ってもらおうと思ってな!」
「じゃ、もっと小さいデザート頼めばよかった話だろうが」
「あれが1番カップルにぴったりなもんだったんだよ。な? 愛菜!」
「なんだよ、それ」
これは、あたしも少し呆れちゃうよ。
これじゃあ、まるであたしと高畑くん、利用されてるみたいじゃんか。