俺の宝物は、お前の笑顔。
「……え?」
隣で星野は、きょとんとした顔をしていた。
気がつけば、俺の気持ちが口から出ていたようだ。
「ほし……。ゆりあ」
星野じゃなくて、ゆりあと呼びたい。
あいつが久保田じゃなくて、愛菜と呼んだように。
「俺と、付き合ってくれ」
案の定、星野、もといゆりあは大きく目を見開いて、衝撃を受けているのが伝わった。
そりゃあ、そうだろう。
俺なんか、あいつと違って愛嬌もないし、優しい性格をしてるわけでもない。
あいつに勝てるところといったら……うん、勉強以外なんもないな。
……俺って、マジかっこわりーな。
あいつのリア充になった姿を見ただけで、こうやって女子に告白するだなんて。
こんなんじゃ、まるで彼女が欲しいがために告白をしたようなもんじゃねーか。
そう思われても、まあ仕方ない。
あんな奴だけど、俺に勇気をくれたのは否めないしな。
「あたしも、高畑くん以外考えられない。……好き」
……嘘だろ?
「あたし、高畑くんといる時間が増えていくたびに、どんどん考えるようになっていったの。た、高畑くんの、こと」
二つの茶色い瞳が、俺の姿を映している。
小さな顔が、赤く染まっている。
「なんつーかさ……。ゆりあ、俺にイライラとかしないの?」
俺なんか、口調はきついし、こいつの成績のことですぐ口出ししたりするような奴だし、愛想なんてないし……。
「するよ」