俺の宝物は、お前の笑顔。
「ぎゃあー! お化け屋敷になんで入れるのー!?」
真っ暗な部屋の中、遠くからの叫び声が響く中、1番響いていたのはあたしの声だった(と思う)。
「お化け屋敷なんてイヤだったのにー……」
お化け屋敷を出た後、あたしはよたよた歩きながらそう言った。
「バーカ。じゃあ、遊園地に行きたいなんて言わなきゃ良かったじゃん」
確かに、遊園地デートは憧れるから行きたいって言い出したのはあたしだけど!
「まさかお化け屋敷強制なんて思わなかったもん」
「言ってなかったっけ? お化け屋敷にだけは絶対入るって」
「絶対言ってない!」
あたしの記憶違いだなんて言わせない。
あたしが、こんなにお化け屋敷が苦手なんだもの。
もし、健二がお化け屋敷に入ると言えば絶対聞き逃さなかった。
「はぁー。作り物だっていうのに怖がりすぎなんだよ……」
お化け屋敷が平気な人はすぐこうやって、作り物という一言で片付けられるからいいよね。
作り物なんてことは、誰にだってわかるよ。
けれど、作り物と思えないくらいのクオリティだし、なんてったって怖いものは怖い。