俺の宝物は、お前の笑顔。

「ん。今日ホワイトデーだから」



そうか、今日は3月14日。


健二は、太めで赤いリボンで結ばれた袋をあたしに渡してきた。

受け取った袋を覗き込むと、キャラメルが入っていた。ミルクキャラメル、いちごミルクキャラメルの2種類。



「お前も、ホワイトチョコとビターチョコって2種類くれたし、まあ不平等っていうか? それにイチゴ好きだって言ってたし?」



と言った後に、どういうわけか健二は「あー!」と言いながら、髪を掻きむしった。



「スマホある?」



「もちろんあるけど……」



「キャラメル、意味って打って」



キャラメル? 意味?
キャラメルとは、どんなものかってこと?

そりゃあ、甘いお菓子ってことだと思うんだけど……。


あたしは首を傾げながら、とりあえず健二に言われるがまま、スマホを出した。



「あっ」



検索して真っ先に出てきたのは、『キャラメルの意味は、「安心する存在」』という文字だった。



「これって……」



「お前のそのさ……笑顔のこと」



そう言いながら、健二はそっぽを向きはじめた。



「お前っていっつも笑顔じゃん? 笑顔ほど、安心できる表情はないだろ。だから、安心なんだよ」



「ありがとう、健二!」



ベビーピンクをした、いちごミルクキャラメルを咀嚼(そしゃく)すると甘酸っぱくて優しい味が喉を通る。




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