俺の宝物は、お前の笑顔。

2人で食べられるようなクッキーを選び、あたしは健二の元へと行く。



「俺も、今ちょうど欲しいもの見つけられたし、レジ並ぶか」



健二はあたしが手にしているクッキーを奪うように取ってから、お会計を済ませる。



「ん」



レジでレシートとお釣りを受け取った彼は、受け取ったばかりの袋から小さなものをあたしに渡してきた。


それは、バラをモチーフにした、金色のイヤリングだった。



「わぁ、可愛い!」



いつ買ったんだろう?
こんなの、あったっけ?


あっ、もしかして。



『なんか、菓子とか見とけよ。俺も、まだもうちょっと探したいとこあるから』



さっき言っていたのは、このイヤリングを探していたからだろうか。



「ありがとう、健二! 宝物にするね!」



「宝物か……そんなに気に入ってくれたのか」



「健二は……やっぱ、さっきのクマは宝物にはならないか」



「ならないね」



だよねー……。
いくら、あたしがもらったイヤリングを宝物といっても、そのキーホルダーの価値が上がるかといえば、そうではない。




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