俺の宝物は、お前の笑顔。

袖川さんの話で自分が思っているよりも衝撃を受けたのか、結局あたしは思うような結果が出せなかった。


まあ、今日は初練習だからいいんだけどね。



「ゆりあ! お疲れさまー」



「愛菜……」



「だ、大丈夫だった?」



昔から走るのは得意で、愛菜もそれを知っている。

そりゃあ、愛菜だって不思議がるよ。



「ゆりあ、足速いもん。大丈夫だよ! 小さい頃のかけっこだって、よく1位取ってたし、持久走だって上位だったでしょ」



小学校の頃の持久走も、1年生から6年間ずっと上位だったんだよね。



「おーい、ゆりあー!」



少し高めの、男子の声があたしを呼んだ。



「宗馬!」



水瀬 宗馬(みなせ そうま)は、隣のクラスであたしの幼なじみ。

幼稚園……いや、赤ちゃんの頃から一緒に遊んだりするような仲でもちろん小学校だって中学校だって同じだった。


だから、宗馬もあたしの体育の成績をよく知っている。



「ったく、今日の走ってるゆりあはゆりあらしくなかったぞ」



宗馬も……まあ、そういうこと言うよね。




< 27 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop