俺の宝物は、お前の笑顔。

「宗馬、星野さんのことよく知ってんのか?」



隣のクラスにいる男子達が、ぞくぞくと宗馬の周りに集まる。



「おうよ、ゆりあ、ガキの頃も男子に負けないくらい足が速くて、みんなびっくりしてたんだぜ。おまけに、ゆりあはあの時からよくモテてたもんなぁー」



「モテるんだ?」



えっ……?


確かにあたし、リレーの選手に選ばれたりしたし、男女合同で走る時もだいぶ速く走れてたけど、そんなにモテてたっけ?



「そうそう、小学生の頃から足速くて、かけっこのたびに、こいつのこと好きな男子は騒ぎまくってたもんだから、こいつ、よく『足の速い美少女』って噂されてたんだよ」



「ふーん」



じっと他の男子達は耳を傾けてるけど、全然あたしはそんなこと言われてるのに気が付かなかったんですけど……。



「ちなみにゆりあと一緒にいる、久保田 愛菜なんだけど、そっちもそっちで顔いいし、優しいし、割と勉強もよくできるから、人気は高かったんだぞ」



それは、そうなんだよね。


愛菜、可愛いし優しいし、おまけに頭がよくて成績優秀といった完璧美少女だもん。
高嶺の花って言ってもいいくらいだ。


そりゃあ、愛菜はモテるよ。


でも、なぜか愛菜は告白されることはなかった。


告白されなかったのは、あたしもなんだけど。

しかも愛菜って、鈍感だから自分が男子に人気があることに気づいてなかったし。

明らかに、あたしより愛菜の方がモテていたと思うんだけどなぁ。


ほら、現に愛菜はあたしの横できょとんとしてるだけで何も言わないし。




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