俺の宝物は、お前の笑顔。
店員さんにお金を払って、イチゴと生クリームとチョコレートが入ったクレープを受け取って、あたしは高畑くんの隣を歩いた。
「あのさ、高畑くん」
「なんだよ。俺、長話嫌いって言ったろ」
「じゃあ、もうクレープ買ったんだから帰れってこと?」
あたしがそう聞いても、彼は仏頂面でクレープを食べたまま答えない。
「答えないなら、話すよ?」
自分の意見を言えるときは、はっきり言うように。
このことだって、あたしはちゃんとパパから教えてもらってきたことだもの。
質問に答えないで他の人に思い通りになってもらおうとするのは、ただの甘えだって。
「袖川 麻衣さんって子と同じ中学だったんだって?」
ずっと表情を変えないでいた高畑くんは、この一言でハッとした。
……この反応をするってことは、噂は本当だったんだろうな。
「どこで知ったんだよ、そんな情報」
「リレーの練習で知り合ったの。それで教えてくれたんだよ」
「マジかよ」
「可愛い子だったね」
「知らねーよ、俺は女に興味ねーし」
「じゃあ、どういう子が可愛いって思うの? 理想は?」
「だから知らねー」
「えぇ〜」