俺の宝物は、お前の笑顔。

息を切らしながら放つ、可愛らしい声が聞こえた。



「あっ、袖川さん」



そこには息を整えながら、袖川さんが立っていた。



「おめでと。やっぱ、星野さんはさすが、足の速い美少女だね」



「えっ……! 美少女でいったら、それは袖川さんの方だよ!」



あたしがそう言うと、袖川さんはひどく面食らった。



「あたし!? あたしはマスカラ塗ってるから、そう見えるだけだよ! 朝起きた時なんて、髪の毛は爆発状態だし、顔もむくんでてすごく変な状態だもん!」



えぇー……そうかなぁ。
というか、本当にマスカラを塗ってたんだ。


いや待てよ?
この言い方ってことは、まさか袖川さんはマスカラを塗って髪の毛をセットしている……それだけしかしてないの!?


嘘、だよね?
この小さめでさくらんぼ色のプルプルの唇も、リップクリームは塗っているんだろうけど、それだけでこんな可愛い感じになる?


肌も、まるで赤ちゃんみたいだよ。
日焼け止めを塗っただけでも、こんな綺麗な状態を保つのって絶対難しい。




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